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.電話調査の結果

【調査方法】

対象:交通事故被害者243名

方法:弁護士・医師・臨床心理士・NPOを招き,「交通事故・1日電話相談会」を開催し,同時にアンケートを実施

はじめに

いつものように,電話調査を行っていたある日のことです。スタッフのひとりが驚きの声をあげて,こう言いました。

「あの人,1億円を超えました!」

始めはなんのことだかわからず呆然としていたのですが,スタッフが説明をはじめてくれたことにより,ようやく事態が把握できました。

どうやら,追跡調査をしていた交通事故被害者のひとりが,相手方との交渉で1億円を超える賠償を手にしたらしいのです。

とりあえず,この方をAさんと呼ぶことにします。

 

Aさんとは長いつきあいで,最初に言葉を交わしたのは2年以上も前のことです。当時,調査のために実施していた電話相談会に相談してきたことが始まりでした。

 

Aさんの事故は,歩行中にトラックにひかれるというものでした。負ったケガは, 頭部外傷 (頭蓋骨骨折および硬膜外血腫)から 背骨の骨折 (胸椎圧迫骨折), 肺の怪我 (血気胸)まで,実に多様な怪我をおっていました。生身の人間が,わき見運転のトラックにひかれたのですから,どれほどひどい状況になるか想像に難くないと思います。

 

ただ,初めて言葉を交わした時はすでに,治療らしい治療は終え,あとは後遺障害の手続と賠償交渉を残すのみ,という状況でした。

 

当時,主に通院していた病院からは,すでに後遺障害診断書を受け取っており,それによると,10級が見込まれました。(厳密には,脊柱の変形による11級と,肩関節の可動域制限の12級との併合による,10級です。)肩関節の状態はよかったので,これは非該当だったかも知れません。その場合には,単独で11級です。電話相談に参加していた弁護士からは,年齢等を考えると2000万円ほどの賠償ではないか,とのことでした。

 

しかし,どうやらそれ以外にも認定されるべき後遺障害がありそうなのは,直ぐに分かりました。

そこで,弁護士が依頼を受け,弊社が医療調査を実施することになりました。

 

調査の第一歩として,まずは資料を読み返しました。すると,Aさんは必要と思われる検査を,ほとんどと言ってよい程,受けていませんでした。そのため,ただちに検査の手配を行いました。当時の主治医から紹介状をもらい,検査のできる病院に移りました。検査をスタートしました。思った通り,脳機能,味覚・嗅覚などなど本人も気付かない症状がどんどん明らかになってきました。

 

検査結果や診断書をまとめ,あとは弁護士にお任せしました。

 

あれから2年が経ち,Aさんは1億円を超える賠償金を手にしたわけです。この知らせを受け,スタッフは金額の多さにビックリして大声を出したのでした。

しかし,電話相談以来,追跡調査を続けてきたことと,そして何よりも,医療調査を担当したものとして,この結果にはさほど驚きもしなかったのです。ただ,Aさんのように,医療調査を実施するだけで飛躍的に賠償金額が上がる方を見るたびに,ゾッとしてしまうのです。それは,Aさんも相談する相手によっては,11級で裁判を始め,たった2000万円で終わっていた可能性があったのだ,と。その後の生活に支障があろうが,金額が変ることはありません。

 

弊社では,このゾッとする経験を何度もしてきました。そのたびに,賠償金が, 偶然の出会いによって大きく左右される現実に疑問と憤り をいだかずにはいられませんでした。

 

私は,弁護士の未来について,医師らと比較し,こう思うわけです。医師らは,ブームのように沸き起こった医療過誤や医療不信に,嫌と言うほど,辛い思いをしてきました。対策に時間を費やしましたし,患者に何か言われないかとオドオドもしてきたわけです。その原因は,過剰反応を示した世論があったかも知れませんが,医師らにも,「やむを得ない」,と納得せざるを得ない後ろめたさもあったようです。自業自得の面があったわけです。

この過ちを,弁護士も歩もうとしているのではないか,と私には思えてなりません。弁護士過誤と弁護士不信,この言葉が世論に浸透する日は遠いようには思えません。

 

本文章は,医療調査を通じ感じた,このような不安・疑問と憤りが原点となり,作成されています。

 

法律事務所における 医師の協力 が及ぼす影響は巨大です。特に, ごくまれにしか交通事故の依頼をうけない大多数の法律事務所においては深刻な問題です。最適な医療調査を実施することなく,きた依頼を事務所の処理能力の範囲で処理してしまう。その結果,ゾッとするような最悪の事態を招く。悲しい現実です。

 

もっとも,法律事務所は, 非弁提携の問題を避けて通れません。他業者との付き合いが極端に制限されているため,事務所の処理能力の範囲内で処理することが一方で求められているわけです。

 

クライアントの権利保護の必要性から業務委託や他業種との交流がのぞまれる反面,業界特有の規制によって委託がままならない,そんなジレンマに多くの事務所,とくに,交通事故の依頼をまれにしか受けない大多数の事務所が苦しんでいます。

 

本文章では,弊社がこれまで行ってきた電話調査をもとに,間もなく到来する競争激化を踏まえ,いくつかの提言を行っています。

 

来るべき弁護士同士の競争を効率的に生き残り,且つ,真にクライアントのためにあるとは,一体,どういうことなのかを,真剣に考える。本文章がそのためのヒントになれば幸いです。

 

交通事故被害者243名を対象に,電話調査を実施しました

昨年(平成18年),数回にわけて電話調査を実施しました。

調査方法は,弁護士・医師・臨床心理士・NPOスタッフを招待し,「交通事故・一日電話相談会」を開催し,マスコミを通じて市民に呼び掛け,アンケートをとる方法で行いました。

件数は,一日平均約40件,6回実施し約243名から回答を得ました。

弁護士を捜す人は,六割超

1日中,レンタルした5つの黒電話のベルがなりひびく相談会を通じて,次のことが判明しました。

事故後3ヶ月以上が経つ被害者の内,実に, 六割以上 の方が,医師との関係に何らかの不満・問題を抱えていることが判明しました。そして,その殆どが,「弁護士に 依頼したい 。」と答えています。

弁護士には「医師との関係改善」も求めている

「弁護士に依頼したい。」と答えた人の多くが,「医師との関係悪化の解消も含めて」弁護士に依頼したいと答えています。

「そんな尻ぬぐいなど受任範囲に含まれないよ!」

と言う反論がきこえてきそうです。それはそうなのですが,ニーズがそこにあるのは事実ですし,信頼関係を築くための役に立つ ヒント が,ここからえら得るのではないでしょうか。

それに, 医師の協力 は,無いよりもあった方がよいのでありませんか。 クライアントのためにも,業務効率化のためにも。特に,後遺障害が争点になった場合には。

 

そして,それが 気軽に 実践できるなら,なんて素晴らしいと思いませんか?

さて,ここで質問です。

 こうした被害者のニーズに 弁護士 は,何割くらいの確立で応えられたでしょうか?電話調査で驚きの数字が判明しました。 答えは次章でご確認下さい。

なんと,ほぼ100%の被害者が,NO

先の電話調査により,医師との関係に何らかの不満・問題を抱えている人が大勢いることが分かりました。そして,そのほぼ100%が,よい弁護士に出会えて い ない と答えました。

これは別に,すべての弁護士が医療ニーズを満たせない,ということではもちろんありません。損保会社の顧問弁護士や,医療過誤を取り扱う弁護士がいるのを知っていますし,そうした先生方は医師とのコネクションを持ち,医療知識をもっているのを私は知っています。

それでも,多くの交通事故被害者が,NOと答えています。

それでも,多くの交通事故被害者が,「NO」と答えています。もし,交通事故被害者のニーズに応えられる 体制 が事務所にあり,体制があることを示してあげることができたなら,信頼関係に加速をかけられる,と思うことはできないでしょうか。そして,この波及効果として,昨今の重要な 話題 ,いかにして到来間近な競争社会を生き残るか,競争優位にたつか,のヒントにもなると言えないでしょうか。

 

競争激化,無謀な挑戦に足を引っ張られないために

生活保護・受給弁護士

これには本当に驚きました。

 先日,司法試験受験生と話す機会がありました。調査の一貫として,受験生らとの交流も深めています。

彼らは学生なのに,本当に 危機意識 が高い。もちろん,弁護士業界の競争激化に対する危機意識のことです。「どうしてそんなに?」と尋ねてみました。

答えの中で,私が一番驚いたのは, 「弁護士で生活保護を受けている人がいる」 という言葉でした。私にしてみれば,バットで頭を殴られたかのような衝撃発言でした。ですが,受験生のみなさんは,実に冷静に,リアルにイメージし,自分の将来と重ね合わせているようでした。

受験生はすでに対策を練っています

彼らは,受験中にも関わらず, 集客のためのマーケティングやクロージング術を学ぶために時間を割き,さらには 先 輩事務所を偵察に訪れています。後輩の見学を気軽に受け入れている事務所の方,学生は緊張しているように見えますか?自信なさそうな卑屈な態度にがっかりしていますか?ですが,楽観しすぎると足下をすくわれるかも知れません。

どうしてそこまで頑張れるのか?

 それもそのはず,きっとご承知のことを書いてしまいますが,平成2年までは,司法試験合格者は年間500人。ところが,翌年から徐々に増え,平成16年には1500人もの合格者。そして,司法試験委員会によれば,本年は,新試験で約2000人,旧試験で300人。さらに,平成22年には,年間3000人程度が合格するとされています。20年前の実に500ポイントの伸び率です。

市場もこれにあわせて500ポイントの伸び率で成長すると見込まれているのでしょうか?

仮に,司法の需要が広がり,弁護士の市場が拡大するとしても, 勝ち組が シェアを独占することもまた正しいでしょうから,やはり供給過多なのではないでしょうか。

受験生たちが,集客を学ぶのも無理はありません。

勝ち組目指して

受験生たちは,弁護士業界が競争に不慣れであることに,とっくに気づいています。そして,虎視眈々と,勝ち組になるべく準備を進めています。もちろん, 次のページのように , 既存の弁護士でさえ,大胆な挑戦に打って出ています。これからの弁護士はどんな挑戦をしてくれるのか,怖さ半分,楽しみ半分です。

 

業界からのドロップアウトをかけて『成果保証』にのりだした挑戦者

未来予想図

業界の未来予想図は,「全体は成長するけれども,ごく一部の勝ち組が引っ張るだけ。その他は置いて行かれる。」そんなところでしょうか?

あるいは,もっと 悲観的 に,業界からの ド ロップアウトが 止まらない 。そんな予想をされる方もはおられることと思います。

当然のことですが, 既存 の 事務所もこの 危機感 を持っているようです。

弁護士業務は委任から請負の時代へ?

インターネットにて, 「成果保証」 をうたう法律事務所を見つけました。「賠償金が あがらなければ 報酬は要りません。」と。

いつの間に,弁護士業務は,委任の時代から 請負の時代 に入ったのでしょうか? 

これはまだ,交通事故限定だったので,理由はわかります。損保会社は,弁護士を相手にした途端に,まるで態度をかえますから。

しかし, 一人 が 他の分野に導入し,廃業を避けるべく もう一人 が参戦,そして さらにもう一人 と,そうして成果保証の波がやってくるかも知れません。

好きこのんでなんておられないのでしょうが

望むと望まざると,というより,きっと望んでなんておられないのでしょうが,競争激化はすでに具体化しているようです。本格的な 請負時代 に突入すると,生活保護弁護士が大量発生なんてことがあるかも知れません。

 まぁ,このようなことを言うと,不安を煽って非弁提携を持ちかける整理屋みたい,と ご批判も 受けそうなので,ここで止めておきます。

必要なのは十分な備え,ですね

望んでおられるのは,競争が成熟する前に, 十分なそなえ をしておきたい,というところではないでしょうか。しかし楽観的な事実があります。 続きをご覧下さい 。

 

まだまだご安心を弁護士報酬1000万円が野放しにされています

昨年の電話調査では,多くの被害者が弁護士を求めていました。すでに一度は,一人以上の弁護士と無料相談会などで接触しているにもかかわらず,です。

スタッフ「弁護士に相談したことはありますか?」

相談者 「はい,市役所の相談会で相談したことがあります。」

スタッフ「その弁護士には続けて相談していないのですか?」

相談者 「名刺をもらいましたが,連絡をしたことはありません。」

概してこんな調子です。

なぜ,連絡してこなかったのでしょう?

相談を受けた弁護士が,意図してそうしたのでしょうか。

「受任すべきタイミングまで,まだ時間がある」

「相性が悪い」

と感じて。

後者なら,やや納得です。

1000万円の野放しが判明

ところが驚いたことに,追跡調査の結果,成功報酬が1000万円を 超えた 被害者がいることが判明しました。

また,300万円〜999万円も 多数 でした。

では,その交渉を引き受けた弁護士は,最初に相談した弁護士だったのか,というと,そうではありません。「改めて無料相談におとずれた際に相談にのってくれた別な弁護士に」という答えが多数です。

未だ,競争は緩やかです

このような調子ですから,今のところはまだ,弁護士界の競争は言われているほど激しくないようです。

法律事務所のほとんどが「今すぐ顧客になる人」しか相手にしない傾向があるためです。

マーケティングをきわめてシンプルに解釈すると,

•  効率よく見込み客をあつめ

•  その見込み客を顧客にし,

•  顧客をリピート客に変え,

•  さらに,リピート客に口コミさせて見込み客を増やす

ということになります。法律事務所の場合には,相談におとずれ得る人が,見込み客に該当します。

その段階では必ずしも顧客になるとは限りません。しかし,有力な見込み客です。これを依頼者に変え,可能であれば顧問契約につなげる,ということが重要ではないでしょうか。「個人に顧問はあり得ないよ。」とおっしゃるかも知れませんが,遺産分割や別な事故・事件,家族のこと,など,十分にリピーターになり得ると思います。

現在のところ,「見込み客→顧客」のステップを上手く機能させるために必要な,意識やノウハウが出来上がっていないようです。

この点,営業センスが鋭く, 売れる仕組み を構築した法律事務所なら,見込み客を一人でも多くあつめ,少しずつ自分たちの顧客に,そして,リピート客に育てていくに違いありません。この事務所なら,1000万円を野放しにはし なかった に違いありません。

現状,売れない仕組みが主流

依頼を受けるタイミングまで「まだ時間がある」と思ったら,名刺を渡すのが精一杯で,それ以上のアプローチをしない。

人間関係を作り始める 何か をして,関係をスタートさせ,徐々にそれを深めていき,タイミングがきたら本契約を結んで着手金と成功報酬の領収書に変えていく,という売れる仕組みを持つ事務所は,まだまだ多くないようです。

競争優位にたつためには,せっかく出会えた見込み客をみすみす他の事務所にもっていかれていてはいけません。まして,それが1000万円を超える成功報酬につながるのなら,なおさらです。

問題は,売れる仕組みを作る方法と,その最初のステップとして必要な,人間関係を作り始める,その 何か です。

 

 

 

価値が伝わりにくい法律相談

人間関係を築き始めるために,ひとまず行う何かが必要と言いましたが,何がふさわしいと思われますか?

法律相談でしょうか。しかし,現状の法律相談は,どうも 本来の価値 が一般に浸透していないようです。ここで耳に痛いことを申し上げます。どうか怒らないで聞いてください。

法律相談はむしろ有害

先の電話調査にて,

「法律相談に5250円を払ったが,何の役にも立たなかった。交通費はもちろん,相談や移動時間分の時給を含めて,全額 返して 欲しい。」

という意見をいただきました。まるで消費生活センターに寄せられる悪質業者に対するクレームのようです。

もちろん,反論されるでしょう。

「弁護士はみな,資格と責任をもって回答をしている。悪質業者とは次元が違う。」

「中には,手を抜く弁護士もいるかも知れないが,殆どの弁護士はそうではない。」

「相談者には変わった人もいるから,そういう意見もあって当然かな。」

と。

しかし,同様のニュアンスで有料相談を批判したのは,もはや少数派ではありません。40件を超えました。「無料相談だから仕方ない」,も含めると100件を超えます。

このように,一般の人々には,どうも法律相談の値打ちが伝わっていないようです。

「日本人のレベルが低く本来の価値が分からないのだ」,と嘆くのもいいのですが,法律相談の,値打ちが伝わらない以上,信頼関係を築き始める第一歩としては,有効に機能してくれそうにありません。むしろ,気持ちを遠ざけてしまうので, 有害 と言えるのかも知れません。

一生懸命答えたのに,かえって気持ちを遠ざけてしまう。なんてもったいないことでしょう。気持ちを引きつける一工夫が必要です。

有力なヒント

ひとつ 面白い 結果がありました。

臨床心理士が最初に電話にでました。続いて法的な部分を弁護士が答えたところ,「もう一度,臨床心理士に代わって欲しい。」と言われ代わりました。そして,何を言ったかというと,

「弁護士さんの言ったことは正しいとですか?」!

です。臨床心理士はさすがでした。信頼関係を築きはじめたのは臨床心理士であり,弁護士ではありませんでした。このような場合,相談者はきっとこう思っているはずです。「あなたが弁護士だったらよかったのに。」と。

よかれと思ってしたことが,実は単なる独善だった,なんてことはよく起こります。

私のような中小企業経営者には日課のようにあります。売れない商品を愛着いっぱいに作るが売れない。 同じ過ち を,弁護士もしているとすればもったいないことです。少なくとも,私の商品と比べれば,弁護士の皆さまの商品(業務)は優れているのですから。では,有効な対策を, 続きでお確かめ下さい。

 

 

無い知恵絞って頑張った,貧乏ITベンチャー

無い知恵をしぼり,成功した中小零細

とあるITベンチャーの話です。主力商品は基本セットが300万円もする「小規模診療所向けの電子カルテパッケージ」です。フルセットなら1000万円を超える商品です。

商品は抜群

本商材は,カルテの電子化をはじめ,あらゆる機能がつめこまれた大変な優れものです。スペックが充実していて,しかも,大企業のものよりやすい。商品としては抜群です。

さらに,市場は膨大です。診療所の電子カルテ普及率は,2002年(2004年発行の厚生労働省の統計)でわずか2・6%に過ぎず,いずれ100%の普及があるとして,ターゲットは97・4%の,約7万5千人です。300万円×7万5千=2250 億円 ,乱暴な計算ですが, ワクワク するような市場です。

でも売れない

 素晴らしい商品と市場。だから,ドンドン売れるのか。というと,そう簡単にはいきません。

 ここで勘違いしやすいのが,「商品がよくてやすければ必ず売れる。」と 思い込んで しまうことです。

 弁護士と臨床心理士,どちらの発言の方が,価値が高いですか。どちらも無料で回答しています。ですので,値段は同等です。では,解決に必要な情報を提供したのはどちらでしょう。提供した情報の品質は,圧倒的に弁護士の方が優れているはずです。

でも,どちらが信頼を勝ち得たでしょうか?

重要なので,申し上げます。

品質 と 売れる は,反比例

品質と信頼は,直結して いない ようです 。 品質が,売るための努力と工夫を 邪魔 するので,むしろ反比例します。

このジレンマに打ち勝ったITベンチャーは,その後,スムーズに成約に結びつくすべを身につけました。

この話は大変参考になります。詳細を 次章でどうぞ。

 

 

売れないから,スムーズに売れる,へ

おかしがちな過ちは,「うちは有名じゃないからなぁ。」「仕方ない値下げだ。」となることです。

しかし,問題の本質は値段ではありませんでした。

失敗を繰り返し,売れる仕組みに辿り着いた

当初は,電子カルテをいきなり売り込みました。

商品は抜群です。きっと売れるはず,と意気込んだものの数ヶ月間全くよい返事が得られません。

そこで,電子カルテのパッケージに含まれる「事務の改革コンサルタント部分」だけを切り離し売り込みました。これだけでも病院経営が効率化できる優れたサービスです。ところがこれも,売れませんでした。売れないストレスは営業マンを直撃し,離職を招きました。

会社としても,売れない商品のために営業マンを雇うのは,ドブにお金をすてるようなものです。そこで,仕方なくコピー機リースの代理店契約をし,営業マンにコピー機を売らせることにしました。電子カルテから手を引き,転業覚悟の決断でした。

今更コピー機のリース?と思うかも知れませんし,社長もそう思っていたそうです。ところが,これが意外な効果をもたらしました。OA機器と電子カルテの相乗効果が期待できるので,そもそも畑違いではありません。また,他のリース会社とは異なり,医療コンサルタントや電子カルテを背後にちらつかせた売り込みなので,意味合いが違います。競争で一線を画することができました。これは売りやすくなりました。

さらに,OA機器のリースは,釣りでいうところの撒き餌になりました。電子カルテやコンサルタントサービスに人々が群がるようにするための撒き餌です。ですので,大きな成果を追求する必要はありません。気楽にやればいいので,その分,心に余裕が生まれ,営業マンのやる気が続くようになりました。そして,ここで築いた信頼をもとに,コンサルタント業務が売れるようになりました。

そして,いよいよ,スムーズに売れる仕組みへと変貌を遂げます。

心理的障害に歩調を合わせる

見込み客が買わない理由はいろいろあります。

現在,リースや分割払いが容易に利用できるので,お金が,買わない理由の本質,になることはあまりありません。

それよりも,心理的な障害の方が問題です。

ITベンチャーが辿り着いたのは,

という段階的な仕組みです。

多くの診療所にとって,300万円の買い物はやすい買い物ではありません。設備投資を任された責任者であっても,1人では決定できないのが通常です。そのため,営業マンにとっては,乗り越えなければならないハードルが沢山あります。

受付事務員の「売り込みは追い返したい」という心理的障害,

責任者にたどり着けたとしても,責任者の「まだ必要ない」という心理的障害

責任者が欲しいと思っても,高価なものなので,「経理に相談したり,会議にかけたりして,みんなを説得しなくちゃいけないから大変だ」という心理的障害

購買決定に影響しうる人すべての心理的障害

などなど,乗り越えなければならないハードルは山ほどあります。

このITベンチャーは,コピー機からスタートしたことにより,心理的障害に歩調を合わせることに成功したたわけです。 最初 の階段を気軽に上がってもらい, 次の 階段へ導き, 気がつけば 300万円もの買い物をしてもらっている。そういう営業を展開しました。実際には,こんなに簡単にこの仕組みにたどり着いたわけではありませんが,簡単に説明するとこのようになったわけです。

主力商品は徐々に売れ出しました。

まだまだヒット商品とは言えません。それでも,種まきは続けているので,システマチックに,300万円の果実を実らせてくれます。

 

度重なる失敗を経て辿り着いたのは,要はこの2つです。

  1. 営業マンの,個人の能力に依存しないシステマチックな,売る仕組み
  2. 顧客側の心理的障害にしっかりと歩調を合わせられたこと

 

さて,法律事務所にとっても,いかに早く,このようなスムーズに売れる仕組みを作り上げるかが重要になるはずです。

重要なのは,早く(速く)失敗を済ませ,正しい方法に辿り着くこと

 失敗は避けられません。さすがの弁護士の皆さまでも,いきなり正解に辿り着くのは難しい,と頷いてもらえるのではないでしょうか。とはいえ,いつまでも失敗をしているわけにもいきません。失敗は辛いですし,長くつづくと経済的にも精神的にもよくありません。ならば,素早く失敗を繰り返す。これに尽きるのではないでしょうか。

「でも,うちの業界は,規制があって特殊だからね。」

頭の回転の速い,弁護士の皆さまのことです。すでに,

参考になる部分,

ならない部分,

取り入れたいけど独特な 業界の規制で無理な部分,

さまざまな分析をされていることと思います。

分析を私なりに追いかけてみたところ,次のようになりました

弁護士にとって,

「売りたい商材は, 受任 契約 。これを売りたい。しかし,着手金は,300万円はしなくても,数十万円はするから,一般人にとってはハードルが高い。だから,なかなか売れない。(実際,着手金の値打ちが感じられずに依頼を断念している方の話をよく耳にします。)また,値下げ競争や,成果保証では,自分のクビを絞めてしまう。そこで,見込み客と多く接触し,最初の接触から成約までをスムーズにもっていける仕組みが欲しい。

ただ,信頼関係の足がかりとして機能してくれるはずだった 法律相談 は,なにやら, 有害 とまで言われた。となると,相談とは別な,あるいは,相談に工夫を加え,最初の足がかりとする必要がある。

もちろん,独自開発が理想。しかし,考える余裕もない。ノベルティーグッズでも渡そうか?でもお金がかかるし安っぽくなる。どうしたものか。・・・。考えるのも面倒になってきた。ええ,今日はもう寝ちゃえ!」

いやいや,ちょっと待って下さい。

続きをご覧下さい。

弁護士はステータスシンボルです

 どんな人にも,自尊心は健在です。提供をうけたサービスが何であれ,それがステータスシンボルだと納得させられれば,効果的に次のステップにつながります。次のステップとは,

見込み客→顧客,

顧客→リピート客,

リピート客→口コミ客,

それぞれのステップのことです。

 ある営業マンは,プロ野球選手とのつながりを活かし,「あの有名なプロ野球選手の友人のセールスマン」というステータスシンボルで,普通のサラリーマンから脱皮しています。そして,見込み客を顧客に変え,顧客をリピート客にし,リピート客に口コミをさせて見込み客を増やしてします。

 あなた様の依頼者が,

「私はすごい弁護士に依頼しているの。普通の弁護士とは違って○○○なの。」

と友人に自慢してくれればしめたもの。○○○の中に,意図したステータスシンボルが入っていれば,思惑通りということ。描いた 設計図 が機能している証拠です。

 弁護士という資格自体,おおきなステータスシンボルです。ただ,弁護士同士の競争では使えません。そこで,競争優位に有効なステータスシンボルの作り方を考える必要が生まれます。

設計図通りに,ステータスシンボルと納得させられれば

へりくだるのは面白くありません

依頼者は,損を感じやすいものです。着手金や成功報酬に納得できていません。

もちろん,正当な対価ですから反論は当然です。さらには,「先生 vs 一般人」という立場の違いからも反論できるでしょう。しかし,依頼者にとっては「お客様は神様です」が心のどこかに存在します。

これに打ち勝てるようなステータスシンボルが有効です。依頼者や相談者,あるいは,一般の見込み客に対して,必要以上にへりくだるのはよくありません。値下げ競争や成果保証に陥りやすいからです。それに何より,足下を見られるのは面白くないはずです。

そこで,自尊心をくすぐる工夫が欲しくなるわけです。

さらにそれが,顧客のニーズにマッチしていれば,なおさら効果的です。

小手先は危険

小手先のテクニックでは直ぐにばれてしまいます。信頼関係はいっきに崩壊します。

本当に,心の奥底から,他の弁護士とはひと味ちがうのだぞ,というところを見せてやって下さい。

自尊心だけが全てではありませんが

もちろん,自尊心をくすぐることだけが,値下げ等の消耗戦を回避する上で,有効な手段とは限りません。ですので,私としても,そればかりを強調する気もありません。

ただ,有効なのは間違いないので,心理的障害に見合った自尊心のくすぐり方を,是非,考えてみて下さい。

 


引き続き,をご覧下さい。

目次


マーケット分析とプロファイリング

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